不動産取引における告知義務のグレーゾーン

売買

今回は、不動産取引における告知義務について紹介していきたいと思います。

告知義務とは

そもそも告知義務とは簡単に言えば「不動産の買主(借主)が知っていたなら購入しない可能性のある物件の重大な瑕疵や事実」である告知事項を契約前に告げる義務のことです。

不動産の瑕疵とは、土地や建物に何らかの不具合がある状態を指しますが、瑕疵は4種類に大別できます。

不動産の告知事項に関する瑕疵

  • 心理的瑕疵
  • 環境的瑕疵
  • 物理的瑕疵
  • 法的瑕疵

順番に解説していきます。

心理的瑕疵

心理的瑕疵とは、精神的に抵抗を感じる恐れのある事柄のことで、

例えば、その物件で過去に殺人事件や自殺、孤独死があったなどいわゆる事故物件です。

こちらは、今まで告知に関する明確な判断基準がありませんでしたが、国土交通省が2021年に策定した「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」にて、一定の基準が取りまとめられました。

詳細は省きますが、

自然死や日常生活での不慮の死、死の発覚から3年が経過した死、特殊清掃が行われたあとの死などは告知をしなくても良いとされています。※ただし、事件性や周知性などが高い事案については、告知義務が発生する可能性があるなど、例外も存在します。

環境的瑕疵

環境的瑕疵とは、物件の周辺環境が不快感や嫌悪感を与えるような状況にある事柄です。

例えば、指定暴力集団が近隣に住んでいる、ゴミ処理場や動物園のように匂いが気になる施設がある、道路沿いや幼稚園・学校の近くで騒音がするなどです。

匂いや騒音は物理的な影響がありますが、暴力団などが近隣にいる場合も恐怖心を与える可能性があるため、やはり告知義務があります。

物理的瑕疵

物件そのものに物理的な不具合や欠陥がある事柄で、いわゆる欠陥住宅などです。

例えば、雨漏りがするシロアリが出る耐震強度の不足などが告知事項です。

法的瑕疵

「建築基準法」「都市計画法」「消防法」の3つの法律のいずれかに対して違反がある状態です。

例えば、家を建てる時のサイズの指標である容積率建ぺい率は適切か、防災扉消火器がしっかり設置されているかなどが該当します。

こちらは、基準を満たしていない場合、法令違反となるため、家を建築する際などは注意しましょう。※普通の施工業者であれば、法令基準を満たすのは当たり前の認識です。

告知義務に違反した場合

不動産会社が、告知義務に違反した場合、契約解除や損害賠償などのリスクを負うことになります。

告知義務のグレーゾーン

上記の告知事項について、一部グレーゾーンとなっていることがあり、例えば、自殺など人の死があった物件は死から3年は告知義務があることになっていますが、裁判で「告知義務があるのは、死が発生した後に住んだ1人目までの入居者」という事例が出ており、3年以内であっても2人目以降には、告知をしなくても良いということです。※ただし、法的に1人目までと定められているわけではないため、2人目以降であっても告知義務が生じる場合はあります。

ちなみに死の発覚から3年の告知義務は、賃貸の場合であって、売買の場合は期間の制限はないため、3年を経過していても告知義務があります。

今回は、以上となります。

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トウマと申します。

【プロフィール】
・会社で不動産賃貸業をしているサラリーマン
・宅建や賃管士などの資格に独学で合格

【主な保有資格】
・宅地建物取引士
・賃貸不動産経営管理士
・ファイナンシャルプランニング技能士2級

【ブログの対象者】
・宅建や賃管士などの資格を取得したい。
・資格を取得して本業もしくは副業の収入を増やしたい。
・家の借り方、注意点等を知りたい。

上記の方等を対象に
【宅地建物取引士】と【賃貸不動産経営管理士】、家に関わること等の役立つ情報、発信しています。

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