今回は、「定期賃貸借契約」について紹介していきたいと思います。
定期賃貸借契約の解説をする前に、まずは不動産を賃借りする契約形態である「賃貸借契約」と「使用貸借契約」について、簡単に説明したいと思います。
民法の条文
民法の条文では、下記の通り記載されています。
(使用貸借)
第593条
使用貸借は、当事者の一方がある物を引き渡すことを約し、相手方がその受け取った物について無償で使用及び収益をして契約が終了したときに返還をすることを約することによって、その効力を生ずる。
(賃貸借)
第601条
賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、 相手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約することによって、その効力を生ずる。
上記の通り、二つの契約の大きな違いは、賃料が無償か有償かにあります。
一般的に住宅や店舗などの建物や土地を借りる際は、賃料が発生しますので、民法601条で記載する賃貸借契約ということになります。
定期賃貸借契約とは
「定期賃貸借契約」は、賃貸借契約の一種で不動産の店舗や事務所、住宅などの契約で用いられる契約形態として用いられることが多くなっております。
この契約は名前の通り、契約期間の決まった契約のことで、1年未満の期間を定めることもできますが、3年契約や5年契約、10年契約など契約時にいつまでの期間の契約と明確に定める形となり、借主は期間満了後は必ず退去する必要があります。(※貸主が契約期間満了日の1年前~半年前までの期間に定期賃貸借契約終了の通知をしていない場合は例外です。)
それとは別に「普通賃貸借契約」という契約がありますが、こちらは契約期間が記載されていても、期間満了後に契約が自動更新され、契約期間の定めがない契約となります。※契約内容によって差異はあります。
従来の契約は、「普通賃貸借契約」のみだったのですが、借主に非常に有利な内容となっており、賃料の滞納などの解約事項に抵触するような事項がない限り、貸主からの解約が難しく、契約を解約するには正当事由が必要でした。※正当事由は老朽化した建物の補修工事をしたいといった理由では厳しく、建物倒壊の危険など緊急を要するような場合でなければいけませんでした。
「定期賃貸借契約」は、契約期間を契約前に説明し、お互いに合意して契約するため、正式な手続きを踏めば必ず契約を終了させることができます。
貸主としては、建物の補修工事などを計画的にできますし、空き物件となってから賃料を改定し、新しい借主を探すことができるなどメリットが非常に多いです。※逆に借主としては、契約期間の満了を対抗できないためデメリットとなります。
ただし、貸主としても契約期間中は、解約申し出を行う場合、やはり正当事由が必要になってきますので、当初に定めた期間が長ければ解約ができないというデメリットもありますので、メリット、デメリットをしっかりと比較して物件に合った契約を締結することをおすすめします。
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